私も先日諸々の手続きを行ったところなので、個人事業主として開業するために必要なこと・ものについてまとめておきます。
開業届の提出
開業届は出さなくても良い?
「開業届は不要」だとか、「開業届を出すことで納税の確認をされる」だとかいった意見がありますが、私は「出すべき」とアドバイスしています。
後者の納税確認はそもそも納税義務を怠ろうとしている時点で事業として不適切ですし、他に提出によるデメリットとして挙げられていることは作成の手間くらいですが、そこまで時間がかかるものでもありません。
一方で提出することによるメリットもさして無いのですが、例えば「個人事業用の銀行口座(屋号入りのもの)を作りたい」「融資を受けたい」などであれば開業届の提出を求められることがほとんどなので、こういったケースの際には事前に開業届を提出しておきましょう。
電子申請によるメリット・デメリット
メリット1:提出の手間を省ける
開業届は開業地(自宅か事務所等)を管轄している税務署に提出しますが、開業準備で忙しい時に税務署に出向くのは手間です。
郵送でも可能ですが、提出用と控用の開業届を作成した上で返信用封筒を同封して送付する必要があります。
メリット2:保管の手間を省ける
税務署の受付日を付した印を押した控を渡してもらえますが、手続関係のファイルなどを作って保管しておく必要があるため、特に自宅開業のフリーランスの方などは管理が面倒に思われるかもしれません。
デメリット1:カードリーダ等が必要
主な必要物は以下の通りです。
- ICカードリーダ
- マイナンバーカード
- e-TAXソフトをダウンロード(無料)したPC
ICカードリーダは2,000~3,000円程度で購入できます。これがあれば確定申告その他の手続きも電子申請出来るようになるため、最初に買っておいた方が良いと思います。
ちなみに私はこれを使っています。他のものでも構いませんが、念のため「公的個人認証サービスに対応しているか」は確認しておきましょう。
接触型 ICカードリーダライタ ACR39-NTTCom
デメリット2:受付印がもらえない
先述の通り、紙で提出した場合は受付日の入った印を付した控がもらえます。
電子申請の場合でも送信データが出力されるため、提出が求められた場合はそちらで代用できますが、提出先によっては融通が利かないことも考えられるため、口座開設等を急いでいる場合は紙で提出した方が確実かもしれません。
銀行口座の開設
生活口座とは別に作ることが望ましい
生活口座と事業口座を一緒にすることはデメリットが多いのでおすすめしません。
まず、確定申告の際に面倒です。証憑として通帳の写しを保管する際に「どれが事業用の入金/出費か」を区別しないといけなくなりますし、税務調査が入った場合に「生活用の出費を事業支出にしていないか」と疑われやすくなります。
次に、通帳残高と事業の良し悪しが連動しなくなります。出費がかさんだ場合、事業出費が多かったのか生活費が多かったのかから分析しないといけなくなるため、経営を考える上でもデメリットとなります。
事業口座はどの銀行で作るべきか
検討の手間が惜しいのであればお近くのメガバンクが無難です。取引先から不審がられることもありませんし、トラブルがあった場合でも窓口で対応してもらえるため安心です。
「特定の取引先との入出金が多い」場合は取引先と同じ銀行に口座を作った方が手数料で有利になりますし、融資の受けやすさでは一概には言えないものの、一般的には信用金庫が有利とされます。
また、一人事業の場合はネットバンキングを利用して効率化しないと入出金作業に追われてしまいかねないため、ネットバンキングの利用料も要確認です。特に個人事業主として屋号付の口座を作りたい場合、銀行によって法人扱いされるところと個人扱いされるところがあるため注意です。
屋号は付けるべきか
個人向けの事業などの場合、振込の際の信用面を考慮するとあった方が良いです。但し士業やフリーランスなど、ご自身のお名前を用いて活動している場合は無くても構わないと思います。
私は屋号付の口座を作っていますが、開業届の写しと身分証・銀行印が必要でした。なお、審査含め約2週間かかりました。
その他の作成しておくことが望ましいもの
業務用の電話
事務所を構えるのであれば固定電話、ノマドワーカー等で外出が多い場合は携帯電話となります。
お持ちの携帯電話を利用しても良いですが、プライベート分の料金は経費に出来ないので気を付けましょう。
名刺
一番安いのは自分でデザインし印刷まで行うことですが、名刺カードに対応したプリンタが必要です。
私はテンプレートを利用してデザインを作った上で、印刷はラクスルで行いました。素材等にもよりますが、100部で1,000円未満(送料込)で作成可能です。
名刺作成に取り掛かるためには以下の情報は決めておく必要があるため、早めに検討しておきましょう。
- 屋号
- 電話番号
- メールアドレス
- ホームページURL
- 事務所や店舗の住所
フリーランスであれば自宅住所を掲載する必要も無いと思いますので、事業内容によって掲載すべき情報も変わってきます。
ホームページ
基本的には用意しておいた方が良いですが、飲食店などの場合は食べログやぐるなびなどを参照するお客様が多いためそちらで代用することも良いでしょう。
現代社会においては、気になったものはまずネットで検索する方が多いので、検索から情報を得てもらえるようにしておいた方が有利です。
作り方等については長くなるので別記事にします。
まとめ
必要なものと費用
- 開業届(税務署に提出)⇒ICカードリーダ3,000円程度
- 銀行口座
- 電話⇒事務手数料5,000円程度
- 名刺⇒1,000円程度
- ホームページ⇒初期費用2,000円程度
費用は私の開業時にかかった金額を記載しているため、もっと安くなる場合も高くなる場合もあります。
店舗(不動産)を契約する等でない場合は、初期費用として30,000円~50,000円程度を見ておくと安心でしょう。
相談相手は必要
例えば屋号一つとっても、色々候補を考えているうちにどれが良いか判断がつかなくなってしまいがちです。
専門家に相談するのが最も良いですが、家族や友人などでも構いません。とにかく話を聞いてもらえる味方は大切です。開業の不安も多少は解消されるかと思います。
また、話しているうちに自分の考えが整理されるといったこともありますので、「発信する」ことは常に心がけてください。