AIを「使える人」がいない会社にAIを導入すると危険

気になるニュースがありました。

 

これを入れれば離職率を抑えられる!と思うかもしれませんが、使い方を誤れば逆に離職率が上がってしまうことも起こり得ます。

「AI人材」にも色々いる

まず前提の整理ですが、「AI人材」と一口に言っても色々な定義があります。個人的には以下のように考えています。今回は下記のうち「AIを『使える人』」が社内(現場)に居ないのにAIを導入するリスクをご紹介します。

AIを「作れる人」

プログラマだと思ってもらえば良いです。専門家なので自社で確保するよりは外部に委託する方が多いと思います。

AIを「描ける人」

「こういった判断を下せるAIが必要」など、簡単に言えば設計を考えられる人です。自社の課題を解消出来るAIを検討する上では自社にこの人材が居てくれるにこしたことはないですが、実態はSIerなどに任せているケースが多いかと思われます。

AIを「使える人」

AIを運用出来る人です。AIがわかるように指示を出し、AIからの納品物等を正しく理解出来るスキルがある方となります。基本的に現場に常駐することになるため自社人材となります。

コード等の知識は無くても良いですが、どういう内容のデータがどの程度入っていて、どういうアウトプットが出るのかといったデータの流れや質を把握している必要があります。

AIの言うことを鵜呑みにしてはいけない

青線はAIの判断赤線は人間の判断です

冒頭のケースであれば「この人の退職リスクが高いです」とAIから通知が出るわけですが、だからといって「辞めそうなんだ」とすぐに思ってしまってはいけません。

注意深く見た方が良いよ、と言っているわけであって、この社員が退職を考えている社員なんだと決めつけてしまうと軋轢が生じてしまいます。

ともすれば、本当は辞める気もなかったのにこれが原因で辞めてしまうことにもつながるわけです。

判断の背景も考える必要がある

AIはデータと結果から予測しているだけなので、「なぜ」までは考えていません。

変な話、「女性は休職リスクが高い」とAIが予測した場合、単に出産に伴う休職が多いだけの可能性もありますし、「女性は退職リスクが高い」というのも、会社が産休・育休の制度を整備していないことに原因がある可能性もあります。

導入しているAIの設計思想にもよりますが、ミクロの視点で判断するケースが多いため判断を鵜呑みにしてしまうと大局を見誤ることになります。

先ほどの例で言うと、AIの判断を鵜呑みにすると「女性の採用を減らす」などといった時代錯誤甚だしい結論を招きかねませんが、本来必要なのは産休や育休の制度を整備するなどして「女性が働きやすい環境を作る」ことなのです。

そもそもAIは万能ではない

ここまではAIの判断が正しい前提で書きましたが、正しいとは限りません。特に今回のケースのような、人間が判断しづらいことまで判断させる場合なおさらです。

データが増えれば増えるほど精緻な予測が出来るようになるとは思われますが、まだ発展途上です。導入したてのAIに会社の判断の全てを任せて良いはずはありません。

あくまで補助的な利用に留め、「AIがこう判断したから」といって人間が思考停止してしまうことの無いようにすることが必要です。結局会社を動かすのは「人」であることは変わりません

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